◆ 藤壷① ◆

 最愛の桐壷の更衣が亡くなられた後、帝は悲しみに明け暮れ、政治もままならない御様子です。

そこで亡き桐壷の更衣にそっくりと言われる前の帝の内親王様が、入内(お輿入れ)されることになりました。
藤壷というお部屋に住まわれることとなり、藤壷の女御と呼ばれます。

この方は内親王様ですので、第一婦人の弘徽殿の女御も表だった嫌がらせができません。

帝はたちまち藤壷の女御のとりことなり、まだ幼い光源氏を伴ってお会いになります。

光源氏は、母の面影を追いながら藤壷の女御をご覧になっていたのですが、いつし淡い初恋へと変化していくのですが、また本人は気付いていないようです。

さて光源氏は12才となり、元服(成人式)の時がやってきました。
臣下に下った者ですのに、東宮(皇太子)に負けないくらい立派な式となりました。
それほど帝は光源氏のことが、可愛くてならないのです。

しかし元服を迎えた後は、さすがに藤壷の女御とたやすくお会いになることは出来ません。

会えなくなって初めて、心の中に潜む本当の自分の気持ちに気付く光源氏でした。

しかし相手の藤壷の女御は、父 帝の妻。決して誰にも知られてはならない想いでした。