◆ 六条御息所@ ◆
六条御息所は皇太子妃でしたので、とても身分の高い方です。
教養も美的センスも高く、書も絵も素晴らしく、楽器もこなされ、そして何よりも美しいお方でございました。

皇太子が亡くなられた後は、御息所のお住まいは文化的なサロンとして、彼女に憧れる貴公子たちのお集まりの場となっておりました。

そのなかに光源氏もいらしたのですが、いつのまにか、お二人は恋仲となっておられました。

ここから御息所の悲劇が始まります。

光源氏は、皆が憧れ競いあっていた頃は一生懸命通いつめて、愛の言葉を囁いていたのですが、いざ自分のものになってしまうと、完璧すぎる彼女に心の安らぎを覚えることができず、お逢いになる回数も減りぎみです。

御息所は光源氏よりも7才も年上。
光源氏には正妻がいる。
そのうえ他の愛人の元に通う噂も聞こえてきます。

プライド高き御息所の胸の内には怒りと嫉妬がうずまいていきます。

しかしその怒りと嫉妬をぶちまけることは、やはりプライドが許さない、そんな不自由な女性なのです。