◆ 夕顔① ◆
ある日、六条御息所に逢いに行く途中、五条の辺りで、見たこともない美しい儚げな花を見つけます。

お付きの者に一房採って来るよう命じました。
すると中から可愛い女の子で出てきて、「この花はしっかりしていない花ですので、この扇にのせてお持ちください」と言います。

この花は夕顔の花でした。

これがきっかけで、光源氏はこの家の女主人の元に通うようになりました。
この女性は素直に甘えて光源氏に寄り添います。
この辺りは庶民が住む町。
しかしこの女性がどういう者か、そんなことは構いもせず、ただただ心のままに通いつめます。


心の中で慕い続けている藤壷の女御は手の届かないお方、妻はつんととりすまし、空蝉には逃げられ、六条御息所には息苦しさを感じていた光源氏。
やっと心安らぐ女性に巡り会えました。

夕顔の花が咲く家でしたので、この女性「夕顔」と名付けられました。