◆ 若紫② ◆

若紫の父親は、藤壷の宮の兄上でした。
母親が身分が低く早くに亡くなってしまったので、父からは疎まれ、母方の祖母(尼君)のもとで育てられました。

光源氏はこの少女を手元において面倒を見たいと思うのですが、まだ10才の子どもですから、と尼君はお断りになるのでした。

しかしそれからしばらくすると、尼君はご病気で亡くなられ、この少女は仕方なく父親に引き取られることが決まりました。
しかしそうなってしまってからでは、光源氏の思いのままにはできないので、
なんと誰の承諾も得ずに、少女を連れ去って来てしまいました。

今でしたら大変な誘拐事件ですよね(笑)

びっくりした若紫でしたが、光源氏はお優しく、お屋敷には子供が喜ぶおもちゃがたくさんあり、美しい女房たちに囲まれ、すぐに馴染んでいきました。

光源氏は恋しい藤壷の宮と血の繋がりのあるこの姫君を、理想の女性に育てていこうと思うのでした。